請求の趣旨とは
請求の趣旨とは、裁判所に求める判決の結論のことです。
たとえば、売買代金として100万円の支払を求める場合、請求の趣旨はこのようになります。
第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、100万円を支払え。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。
100万円と利息の支払を求める場合には、
第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、100万円及びこれに対する令和元年5月10日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。
そして、この訴状によって提起した裁判が、原告の全面的勝訴となった場合には、判決ではこのような主文が言い渡されることになります。
主 文
1 被告は、原告に対し、100万円及びこれに対する令和元年5月10日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
3 この判決は、仮に執行することができる。
これを見れば分かるとおり、請求の趣旨は、原告が求める判決主文の内容を記載するのです。
請求の趣旨には余分なことを書かない
請求の趣旨には、請求の根拠に関する記載は一切書きません。たとえば、損害賠償請求訴訟において、被告に過失があることなどは、「請求の原因」に記載し、請求の趣旨には、本当に結論しか記載しません。
このことを理解していないと、請求の趣旨に「売買代金として100万円を支払え」とか「利息として令和元年5月10日から支払済みまで・・・」等と記載したくなってしまいますが、このような書き方はしないことになっています。
被告が複数の場合
被告が複数の場合、しかも連帯債務者である場合には、以下のような記載になります。
第1 請求の趣旨
1 被告らは、原告に対し、連帯して、100万円及びこれに対する令和元年5月10日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告らの負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。
被告らという言い方はちょっと乱暴な物言いに思えるかもしれませんが、裁判用語だと思って気にせず使用してください。
「連帯して、」とは、2名の被告の負う支払義務が、連帯債務であることを示します。請求の趣旨には、余分なことを書かないと説明しましたが、連帯債務であることが明記されていない場合、被告がそれぞれ100万円の支払をする必要があるのか、50万円ずつの責任なのか責任の内容が特定できないため、このような記載をすることになっています。
不動産の明渡訴訟
不動産の明け渡しを求める場合には、土地なのか建物なのか、建物の一室なのか、土地には建物が建っているのか、自動車が残置されているのか、状況によって、請求の趣旨の記載の仕方が異なります。
事件類型ごとの請求の趣旨の記載の仕方は、紛争類型別マニュアルの記事で、詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。
neutral様
本サイト拝読しました。一般の国民に広くこのような有益情報を公開されておられることに敬意を表し、感動する者です。
自身もDIYにて訴訟手続きを進めようと考えているものです。ありがたく感謝申し上げます。必要ページ(ほとんどすべて)印刷し、熟読しているのですが、以下1点気づいた点がございます。(私の探し方が問題なのかも知れません。)
上記「不動産の明渡訴訟」の項にあります「紛争類型別マニュアルの記事」ですが、どのあたりに掲載されているのでしょうか?ご教示いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
類型別の記事は、トップページから入れます。
がしかし、まだかなり不完全です。