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審理方法

民事訴訟の審理のながれを理解するために知っておくべきこと

投稿日:5月 31, 2019 更新日:

民事裁判というと、法廷で「異議あり」と相手方を追及していくイメージを持つかも知れませんが、実際には、そんな必要はありません。民事裁判は、ほとんど書面によって行われています。

本人訴訟を進める上で、知っておくべき重要度の高いことから説明します。

裁判期日

当事者が裁判所に出廷して裁判を行う日時を「期日」といいます。「期日」という言葉は、「期限」のような意味で使われることがありますが、ここで言う期日は、裁判当日のことをいいます。

「期日」と「期日外」について

期日には、始まりと終わりがあります。これは、会議の始まりと終わりのようなものです。10時00分から期日が始まり、必要なやりとりを終えて、10時10分に終わったという場合、この10分間が「期日」です。その前後を「期日外」「期日間」といいます。

ですので、「期日外で話をします」とか「期日間に協議します」といわれたら、期日が終わった後の廊下の立ち話であったり、後日に電話で協議をすることを意味します。

期日の種類

期日には、以下の種類があります。

1 口頭弁論期日
2 弁論準備期日
3 和解期日
4 進行協議期日
5 判決期日

口頭弁論期日は、公開のいわゆる法廷で行われる期日です。傍聴人が見に来ていることもあります。証人尋問をおこなうのも、口頭弁論期日です。証人尋問の期日のことを、証拠調べ、と言ったりします。

弁論準備期日は、非公開の手続です。口頭弁論では、細かい話をしにくいので、会議室のような部屋で打合せをするように行われます。

和解期日進行協議期日は、和解の話をしたり、今後の手続の進め方について協議をするための期日ですが、弁論準備期日でも、和解の協議をしたり、今後の手続の進め方について話をします。わざわざ、和解期日や進行協議期日として期日を指定しない場合も多く、実際の当日の進め方も、弁論準備期日と大きな違いはありません。

判決期日は、判決の言い渡しのみを行う期日です。
一般の方に驚かれることですが、弁護士は、判決の期日に出席することはほとんどありません。判決期日では、主文しか読み上げてくれませんし、その場で判決書を貰えるわけでもないので、結論は電話で確認し、その後、判決書をもらって確認します。

準備書面の書き方

準備書面とは、期日で主張したいことを書いて、事前に提出する書面のことです。

裁判は、原告が訴状を提出して始まり、被告が答弁書を提出することで、主張の対立点がどこにあるのか明確になっていきます。

その後、争点となるポイントについて、各当事者が、主張を掘り下げていく為に提出するものが準備書面です。

準備書面のサンプル書式

準備書面の基本的な書式は、以下のとおりです。モバイルでは表示が崩れます。
こちらからダウンロードもできます。

ご覧の通り、ネット上のイラストの無断転載に関する著作権侵害の損害賠償請求訴訟の実際の事案を題材としています。

平成31年(ワ)第●●●号 損害賠償請求事件
原 告  甲野 太郎
被 告  乙川 次郎
              準備書面(1)
                       令和元年5月10日
名古屋簡易裁判所民事●係 御中
                  原  告   甲 野 太 郎

第1 答弁書「第3 被告の主張」に対する認否
 1 同1について
   否認する。
 2 同2について
   否認する。
 3  同3について
   否認する。

第2 原告の主張
 1 本件各イラストが原告の作成したものであること
   被告は、本件各イラストが原告の製作したものであることを争うが、憶測や可能性を指摘するものに過ぎない。
   本件各イラストには、著作権表示がないものの、「@○○」というツイッターアカウント名が記載されている。同ツイッターアカウントは、原告のウェブサイト上にもリンクされているとおり、原告のアカウントである(甲4)。
   原告は、実名でイラストレーターとして活動しており、本件各イラストと同じ絵柄で多数の作品をウェブサイト上で発表し、企業などからイラスト制作の仕事を受注している(甲5から甲8)。

(以下略)

準備書面に記載することは、主に2点あります。

1 相手の主張の認否
2 自分の主張

相手の主張に対しては、「認める」、「否認」、「知らない(不知)」の3つの立場のどれかに当たるはずですから、どの部分を認めるのか、認めないのか、あるいは不知なのかを明確に認否します。

自分の主張の記載は、とにかく、感情論や法律論よりも、事実関係の主張に重きを置くようにするのがポイントです。

もちろん法律論を記載することもありますが、裁判官に法律の説法をするのは、本当に必要なときに限った方が良いでしょう。特に本人訴訟においては。残念ながら、裁判官に法律論を説く必要がある事案なら、弁護士に依頼するほかないです。

準備書面の提出方法(直送)について
証拠説明書の書き方など

証人尋問

民事裁判というと、証人尋問のシーンが頭に浮かぶことが多いでしょう。

しかし、多くの訴訟は、証人尋問をせず、和解で終わることが多いです。

証人尋問というのは、裁判のクライマックスのようなものです。基本的には、準備書面と書証の応酬により、争点について議論が深まり、裁判所の心証が形成され、その結果、裁判所からの和解の提案があったりして、解決に至ることも多いのです。

証人尋問は、準備書面と書証の提出が出尽くした段階で、実際に当事者や商人から話を聞いて、どちらの話が真実らしいか調べるための手続なのです。

ですから、一連の裁判を通じて比較的最後の時期に証人尋問が行われ、証人尋問の申請のタイミングも、裁判所の訴訟進行に任せるのが基本です。ですので、1回目や2回目の期日で証人尋問の申請をするのは、ちょっと実務的な流れと外れてしまいます。

求釈明

求釈明とは、当事者の主張の不明確な点について説明を求める裁判所の指示のことを言います。そして、裁判官の求釈明を促すため、当事者の提出する準備書面においても、相手方に説明を求めることを「求釈明」と題して記載することがあります。

求釈明には、いろいろな目的がありますが、積極的に裁判所が主張させるべき点を指摘することによって、争点整理が促進されるという機能があります。

当事者が準備書面で求釈明をする場合は、主張の不明確な部分を指摘することで、相手の主張を攻撃するような狙いがある場合も多いでしょう。

第3  求釈明
 被告は、本件サイトの運営を第三者に委ねているため、被告はもはやサイト運営者ではないと主張しているが、被告が本件サイトの運営を委ねたという第三者の氏名住所を明らかにされたい。

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