DIY裁判

本人訴訟を支援するため弁護士が作ったサイト。弁護士なしで裁判をする方法について解説します。

訴状 訴訟手続

物件目録

投稿日:5月 14, 2019 更新日:

物件目録とは

物件目録とは、裁判書類のなかで主に不動産の特定のために使用される書式です。

たとえば、不動産の明渡訴訟の請求の趣旨は、

第1 請求の趣旨
 1 被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の土地を明け渡せ。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。

という形式が基本で、
下記のような物件目録を別紙として添付し、
「別紙物件目録記載の土地」という形で、どの土地であるのかを特定します。

      物 件 目 録

土  地
 所   在   名古屋市中区丸の内一丁目
 地   番   ○○○番
 地   目   宅地
 地   積   100.80㎡  

どの土地の明渡を求めるのか、その土地の所在地、地番、面積、地目を全て、請求の趣旨の文章の中に記載すると、ごちゃごちゃしてしまいます。

土地については、請求の原因の中でも言及しますから、請求原因の中でも、「別紙物件目録の土地」という形で指摘できる方が、文章としてすっきりします。

物件目録の記載方法

物件目録の形式は上記のような形式で作成します。
余計なことを書き足したり、逆に、記載を省略してはいけません。

所在や地積は、登記をそのまま記載します。
たとえば、登記上「○○一丁目」となっているのに、「○○1丁目」と記載してはいけません。地積も、小数点以下まで記載があるなら、物件目録も、所有数点以下の数字を記載しますが、登記上、100㎡とされているのなら、「100.00㎡」とはしません。

建物の物件目録は、以下のような記載となります。

      物 件 目 録

建  物
 所   在   名古屋市中区丸の内一丁目 ○○番地
 家 屋 番 号   ○○○番
 種   類   居宅
 構   造   木造瓦葺二階建
 床 面 積   1階 70.20㎡
         2階 50.20㎡ 

複数の不動産の物件目録

土地がいくつかの地番の土地に分かれている場合、土地と建物を両方記載する場合は、一つの物件目録に複数の不動産を記載して問題ありません。

      物 件 目 録

1 土 地
  所   在   名古屋市中区丸の内一丁目
  地   番   ○○○番
  地   目   宅地
  地   積   100.80㎡

2 土 地
  所   在   名古屋市中区丸の内一丁目
  地   番   ○○×番
  地   目   宅地
  地   積   30.50㎡
  
3 建 物
  所   在   名古屋市中区丸の内一丁目 ○○番地
  家 屋 番 号   ○○○番
  種   類   居宅
  構   造   木造瓦葺二階建
  床 面 積   1階 70.20㎡
          2階 50.20㎡ 

土地や建物の一部の明渡を求める場合

土地や建物の一部の明渡しを求める場合、物件目録に図面を添付して、具体的にどの部分であるのか図面で指示して特定します。

もっとも、建物のワンフロア全体の明け渡しを求めるような場合は、図面の添付までは必要なく、以下のような記載をすることができます。

      物 件 目 録

建  物
 所   在   名古屋市中区丸の内一丁目
 家 屋 番 号   ○○○番
 種   類   居宅
 構   造   木造瓦葺二階建
 床 面 積   1階 70.20㎡
         2階 50.20㎡ 
    上記建物の内1階部分

アパートの一室の明け渡しを求める場合は、

      物 件 目 録

建  物
 所   在   名古屋市中区丸の内一丁目
 家 屋 番 号   ○○○番
 種   類   共同住宅
 構   造   木造瓦葺二階建
 床 面 積   1階 170.20㎡
         2階 150.20㎡ 
    上記建物の内1階 103号室
    別紙図面赤色斜線部分 40㎡
                   

別紙図面は、建築時の図面を利用するのが正確です。
法務局の建物図面、各階平面図を利用することもできますが、間取りの記載がないので、共同住宅の一室を特定するのには、利用しにくいかもしれません。

区分所有建物(マンション)の場合

       物 件 目 録

(一棟の建物の表示)
  所    在 名古屋市中村区○○三丁目 ○○番地
  建物の名称  ○○マンション
(専有部分の建物の表示)
  家屋番号  ○○三丁目 ○○番の901
建物の名称  901
  種    類  居宅
  構    造  鉄骨鉄筋コンクリート造1階建
  床 面 積  9階部分 ○○.○○㎡
(敷地権の目的たる土地の表示)
  土地の符号  1
  所在及び地番  名古屋市中村区○○三丁目○○番
  地    目  宅地
  地    積  ○○.○○㎡
  土地の符号  2
  所在及び地番  名古屋市中村区○○三丁目□□番
  地    目  宅地
  地    積  ○○○.○○㎡
(敷地権の表示)
土地の符号  1・2
  敷地権の種類  所有権
  敷地権の割合  99万9999分の8888

特殊な場合

以下は、関係なければ理解しなくても結構です。

区分所有建物(土地共有の場合)、未登記建物の場合、仮換地の指定がある場合、工場抵当の物件目録の記載方法など、ちょっと変わった、物件目録の記載例については、裁判所のホームページの以下のリンクを参照してください。
http://www.courts.go.jp/okayama/vcms_lf/20202023.pdf

-訴状, 訴訟手続

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

第一回口頭弁論期日は、こんな感じです、という話 その1

裁判所についたら、法廷の場所をロビーの案内板などで確認します。東京地裁などは、建物に入るのに金属探知機を通ったりしますので、予定時間より早めに到着するようにしましょう。指定されている時間よりも少し前に …

付属書類

付属書類とは、訴状に添付する書類のことです。例えば、不動産関係の訴訟の場合、訴状提出時に登記事項証明書や固定資産評価証明書の添付が必要な場合があります。また、原告または被告が法人である場合、法人登記の …

訴状訂正申立書の訂正をする

「訴状訂正申立書2」として提出する。 訴状を提出するときに提出するのは、訴状訂正申立書ですが、訂正申立書をさらに訂正したいときや、再度、訴状訂正申立書を訂正して、追加して主張をするときには、どのように …

訴状訂正申立書の記載例(原告被告の記載の訂正)

裁判書から当事者欄の書き方について、訂正を求められた場合の訴状訂正申立書の記載方法を説明します。 原告又は被告の住所の修正 令和元年(ワ)第1111号 建物明渡等請求事件原告 山田太郎被告 川田次郎  …

証拠説明書と証拠のコピー

裁判所に証拠を提出する手順 証拠は、裁判所でいきなり相手方や裁判官に突きつけるわけではなく、事前にコピーを提出し、期日で原本を確認するという手順で提出します。 訴状でも請求原因を証明する的な証拠のコピ …