物件目録とは
物件目録とは、裁判書類のなかで主に不動産の特定のために使用される書式です。
たとえば、不動産の明渡訴訟の請求の趣旨は、
第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の土地を明け渡せ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。
という形式が基本で、
下記のような物件目録を別紙として添付し、
「別紙物件目録記載の土地」という形で、どの土地であるのかを特定します。
物 件 目 録
土 地
所 在 名古屋市中区丸の内一丁目
地 番 ○○○番
地 目 宅地
地 積 100.80㎡
どの土地の明渡を求めるのか、その土地の所在地、地番、面積、地目を全て、請求の趣旨の文章の中に記載すると、ごちゃごちゃしてしまいます。
土地については、請求の原因の中でも言及しますから、請求原因の中でも、「別紙物件目録の土地」という形で指摘できる方が、文章としてすっきりします。
物件目録の記載方法
物件目録の形式は上記のような形式で作成します。
余計なことを書き足したり、逆に、記載を省略してはいけません。
所在や地積は、登記をそのまま記載します。
たとえば、登記上「○○一丁目」となっているのに、「○○1丁目」と記載してはいけません。地積も、小数点以下まで記載があるなら、物件目録も、所有数点以下の数字を記載しますが、登記上、100㎡とされているのなら、「100.00㎡」とはしません。
建物の物件目録は、以下のような記載となります。
物 件 目 録
建 物
所 在 名古屋市中区丸の内一丁目 ○○番地
家 屋 番 号 ○○○番
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺二階建
床 面 積 1階 70.20㎡
2階 50.20㎡
複数の不動産の物件目録
土地がいくつかの地番の土地に分かれている場合、土地と建物を両方記載する場合は、一つの物件目録に複数の不動産を記載して問題ありません。
物 件 目 録
1 土 地
所 在 名古屋市中区丸の内一丁目
地 番 ○○○番
地 目 宅地
地 積 100.80㎡
2 土 地
所 在 名古屋市中区丸の内一丁目
地 番 ○○×番
地 目 宅地
地 積 30.50㎡
3 建 物
所 在 名古屋市中区丸の内一丁目 ○○番地
家 屋 番 号 ○○○番
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺二階建
床 面 積 1階 70.20㎡
2階 50.20㎡
土地や建物の一部の明渡を求める場合
土地や建物の一部の明渡しを求める場合、物件目録に図面を添付して、具体的にどの部分であるのか図面で指示して特定します。
もっとも、建物のワンフロア全体の明け渡しを求めるような場合は、図面の添付までは必要なく、以下のような記載をすることができます。
物 件 目 録
建 物
所 在 名古屋市中区丸の内一丁目
家 屋 番 号 ○○○番
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺二階建
床 面 積 1階 70.20㎡
2階 50.20㎡
上記建物の内1階部分
アパートの一室の明け渡しを求める場合は、
物 件 目 録
建 物
所 在 名古屋市中区丸の内一丁目
家 屋 番 号 ○○○番
種 類 共同住宅
構 造 木造瓦葺二階建
床 面 積 1階 170.20㎡
2階 150.20㎡
上記建物の内1階 103号室
別紙図面赤色斜線部分 40㎡
別紙図面は、建築時の図面を利用するのが正確です。
法務局の建物図面、各階平面図を利用することもできますが、間取りの記載がないので、共同住宅の一室を特定するのには、利用しにくいかもしれません。
区分所有建物(マンション)の場合
物 件 目 録
(一棟の建物の表示)
所 在 名古屋市中村区○○三丁目 ○○番地
建物の名称 ○○マンション
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 ○○三丁目 ○○番の901
建物の名称 901
種 類 居宅
構 造 鉄骨鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 9階部分 ○○.○○㎡
(敷地権の目的たる土地の表示)
土地の符号 1
所在及び地番 名古屋市中村区○○三丁目○○番
地 目 宅地
地 積 ○○.○○㎡
土地の符号 2
所在及び地番 名古屋市中村区○○三丁目□□番
地 目 宅地
地 積 ○○○.○○㎡
(敷地権の表示)
土地の符号 1・2
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 99万9999分の8888
特殊な場合
以下は、関係なければ理解しなくても結構です。
区分所有建物(土地共有の場合)、未登記建物の場合、仮換地の指定がある場合、工場抵当の物件目録の記載方法など、ちょっと変わった、物件目録の記載例については、裁判所のホームページの以下のリンクを参照してください。
http://www.courts.go.jp/okayama/vcms_lf/20202023.pdf