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敷金返還請求訴訟

少額訴訟の訴状の提出方法

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提出する場合に用意する部数など

少額訴訟の訴状の作成ができたら、実際に提出するということになりますが、そのまえに、提出時に揃える部数などを確認しましょう。

少額訴訟の場合は証拠説明書まで提出しなくてもOK

提出する訴状は、被告が1名の場合は、2通です。
1通を正本といい、もう1通は副本といいます。

簡単にいうと、正本は、裁判所用、副本は、被告用です。
正本は、裁判所が事件ごとに作成する事件記録と呼ばれるファイルに綴り込まれ、副本は、被告に呼出状と一緒に送達されます。

正本には赤字で正本と書いて、副本には副本と記載します。
1ページ目の右上余白に記載します。

原告の氏名の末尾に押印をしますが、正本にも副本にも押印します。
署名を自筆でする必要はありません。

そして、訴状は自分の手元に残しておくためにもう1通作成しておきます。

したがって、訴状は、最低3通作成することになります。

証拠や付属書類のコピーは必要か

証拠については、原本を提出するのではなく、コピーを提出します。

複数の証拠を提出する場合は、番号をふります。

通常の訴訟の場合、原告が提出する証拠を甲号証といい、甲1号証、甲2号証などとナンバリングするのが普通です。少額訴訟でも、これに沿って、甲1号証,甲2号証と、番号を振ることももちろんOKですが、単に添付資料1、添付資料2としても構いません。当サイトで用意している書式は、簡略的な後者の方法で作成しています。

証拠は、訴状と同様に、裁判所用と被告用を提出します。ですので、被告が1名の場合は、2部コピーを提出します。そして、コピーに赤文字で右上の余白に「甲1号証」あるいは「添付資料1」などと番号を振ります。

証拠の原本は、訴状提出時には提出しませんが、裁判の当日に持参して裁判官に確認をしてもらいます。

敷金返還請求訴訟では、通常、「付属書類」として提出する書類はありません。ただし、被告が会社である場合には、その登記事項証明書(履歴事項全部証明書や現在事項全部証明書)などを提出します。この場合、証拠として提出するものではありませんので、コピーを2部提出する必要はありません。原本の3通提出します。そして、付属書類として提出した書類は、証拠と違って、被告に送達されることはありません。登記事項証明書を証拠としても提出すると言う場合は、付属書類として提出する原本だけでなく、証拠のコピーとしても2部(被告1名の場合)提出することになります。

ホチキスのとじかた

訴状は、複数ページになると思いますが、左側に余白を作ってホチキスで止めます。裁判所は、2穴パンチで綴りますので、余白は広めにとって、ホチキスの貼りが邪魔にならないようにとめると親切です。

訴状は、1部ずつホチキスで止めます。つまり、裁判所用の正本で1部、被告用の副本で1部で、それぞれとじます。証拠は、訴状とは一緒にはとじません。複数の証拠を提出する場合、全部をまとめて閉じることはしません。1つの証拠が2枚以上になる場合、例えば契約書を証拠として提出するような時は、ホチキスでとじます。甲1号証、甲2号証と提出するときに、1号証と2号証をまとめて閉じてはいけません。

収入印紙の貼り方

訴状の余白に貼り付けます。
訴状は2部提出すると説明しましたが、収入印紙を貼るのは、1通だけです。
割印はしません。
割印とは、貼った印紙の上からまたがるように押印することです。
副本には、印紙を貼りませんし、貼った状態でコピーする必要もありません。

間違えないか心配な場合は、貼らずに持参して受付で確認して提出するのがおすすめです。

収入印紙の金額は、請求金額によって決まります。
1円~60万円までは以下のとおりです。

10万円まで 1000円 20万円まで 2000円 30万円まで 3000円
40万円まで 4000円 50万円まで 5000円 60万円まで 6000円

したがって、18万円の請求の場合は、2000円です。

予納郵券の納め方

予納郵券とは、訴状の送達などのための費用として納めるものです。
収入印紙と似ていますが、別のものです。

予め決められた額面と枚数の切手セットを提出する方法で納めます。
裁判所によって、必要な金額や切手の種類が異なりますので、ホームページや電話で確認することになります。「〇〇簡裁 予納郵券」で検索すると、たいていすぐに見つかります。

参考に名古屋簡裁の場合で言うと、被告1名の場合は、以下の通りですが、他の裁判所では違います。

500円 10枚 100円 5枚 84円 10枚 20円 10枚
10円 10枚 5円 10枚 2円 10枚 合計6,710円

この郵券は、そのまま訴状と一緒に提出します。

郵送で提出するなら、封筒に同封して提出しましょう。

ちなみに、現金で収めることもできますが、現金を窓口で提出できるわけではなく、別の手続きが必要なので、切手で納める方がおすすめです。

提出先

提出先は、管轄の裁判所です。訴状の受付をするのは、「民事受付」という名称の係が担当していることが多いです。何か不備があれば、その場で教えてもらえますから、受付に実際に出向いて提出するのがおすすめです。郵送の場合は、書留郵便などで送りましょう。窓口で受理されると、受付時や後日に期日の日程を決めます。

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